コミュニティラジオの頃

(73)金様のラジオの話9

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放送終了後、

いつものようにびっくりドンキー。

そして朝5時に解散。

早朝ラジオ局スタッフからの電話。

「今警察から電話がありまして、Nさんが交通事故に遭いました」

「・・・」

「詳しいことはわからないんですが・・・多分ダメだそうです」

「…」

携帯電話の着信の一番上にラジオ局の電話番号があり、

警察から局に電話があったそうだ。

電話を切った後、溝手はいても立ってもいられず局へ行く。

溝手の家から局までは徒歩10分くらい。

自転車なら5分とかからない。

電話を切ってすぐ局に溝手がやって来たのでスタッフは驚いてた。

「溝手君こんな朝っぱらからどうしたの」

とは局長。

どうしたのって、ほんの何時間前前一緒にいた人が交通事故に遭ったと聞いたらこっちだって。

「せっかく局まで来たんだから病院に行くかい?」

と局長。

まるで紅茶のおいしい喫茶店に入ったんだから紅茶でも飲む?と聞くように。

局長の車でNが運ばれたという病院へ向かう。

車の中で局長が話す。

「たぶんダメだろうな」

「警察の話では車がぺちゃんこらしいから」

「仮に生きてても脳に障害とか出るだろうな」

「だったら死んだ方がいいよな」

いやいや局長…とも言い返せず、ただ車が大破したことも事実なようなので

ある程度心の準備をしておく。

病院に到着。

受付でN(もちろん本名)の名を言うと、手術室だか集中治療室だか忘れたけど…に案内される。

その前にある椅子に夫婦らしい男女が座っている。

母親はNに似てる。多分そうだ。

「あの…N(の本名の苗字)さんのお母さんでしょうか?」

「はい」

「一緒にラジオやってる溝手です」

そういうとお母さんは驚いた顔をする。

「みぞっちさん」

「あ、はい。そうです」

「思ったより小さい人ですね」

あら、それ?

いつもお世話になっています。

この度は・・・みたいな話をひと通りして

局長は「あとは溝手君よろしく」と帰る。

帰るのかよ。

Nがいるはずの手術室だか集中治療室だか(以下面倒なので手術室で統一する)の前で

お母さんと話をする。

「Nはね。ラジオの仕事がとても楽しいっていつも話してたんですよ」

「土曜も仕事あるから大変でしょって言っても、これが生き甲斐だって」

お母さんの話に、少し救われている自分がいた。

まるでもうNが…だと思い込んでいる自分がいた。

その時手術室のドアが開いて、ベッドに横たわる一人の女性が

私達の前を通り運ばれて行く。

あれ、、、今の?

Nだよね???

運んでいる看護師も医者も我々を無視する。

テレビドラマとかだったら

「○○さんのご家族の方ですか?」

とか聞くもんじゃないの。

たぶんNと思われるベッドを我々は追いかける。

Nの顔に白いものは乗っかってなかったな。

てことは…などと考えている溝手がいた。

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