溝手の読書日記

読書アウトプット(16)地下芸人

お笑いが好きなので、芸人をテーマにした小説、漫画など好んで読む。

ドラマ化された「べしゃりぐらし」や

映画化された「芸人交換日記」、

シリーズ化され4巻まで出た「南部芸能事務所」、

暴露本というレベルで片づけてはいけない「芸人失格」などなど

それぞれにそれぞれの味わいがあるが

「地下芸人」は、それらのどの作品と比べても華がない。

なんせ主人公は地下芸人。

デビューして10年、全く売れずに

しかも相方から「解散したい」と言われた男。

その仲間たちも

芸人を辞めて実家に帰ったり、

所属事務所を辞めたり、

キャリアだけ積んで全く結果が出なかったり、

まぁ、マイナス要素の芸人がてんこ盛り。

そんな中で、解散目前の主人公が

解散リミット日までの一ヶ月を綴る物語。

ネタバレになるから詳細は伏せるが、

エンディングは、私の予想と外れた。

外れたが、爽快感のあるラストではない。

そしてこの物語で爽快感やハッピーエンドなラストになってはいけない。

読んでいてそう感じた。

作者のおぎぬまXさんは、元芸人なのだそうだ。

芸人として芽が出なかったが、今はギャグ漫画家として活躍中だそうだ。

文庫本巻末に作者とカズレーザーの対談が掲載され、これがまた興味深い内容だった。

元地下芸人で今やメジャータレントとなったカズレーザーだが、どこまで本音で語っているかはわからないが、この対談を読むと、この人はメイプル超合金がなくても、どこかのタイミングで地下芸人は抜け出していただろうなと思う。

そして作者も地下芸人を抜け出した。

本人は芸人を辞めて漫画家や作家として活動してるので

芸人として売れなかったの気持ちが強いだろうが、

そもそも芸人の基準って何なの???って考えると

漫画や活字を使った自分の表現で結果を出した

おぎぬまXさんは、紛れもなく芸人だと思う。

地下芸人

PS

札幌で一緒に仕事した関係で仲良くなった芸人が何人かいる。

札幌で活動を続けるもの、

東京で活動を続けるもの、

メジャー事務所からインディーズまでいろいろ見てきている。

「明日テレビに出ます」

「舞台あるのでチケット買ってください」

「ラジオ聞いてください」

と時々お願いや報告の連絡をいただく。

彼らの中には10年以上の付き合いの奴もいるから

もう芸歴は10数年ってのもいるんだな。

芸人は続けるのも辞めるのも勇気がいる。

みんな頑張って欲しいなと思いながら、

地下芸人を読むと、芸人で頑張るってどういうことだろう、

とか考えてしまった。