社長の感想文

記憶にございません!を見た記憶

三谷幸喜の映画はすべて見ている。

監督作品はもちろん、脚本の3作品も見てるので

これが11本目の三谷映画になる。

「記憶にございません!」

今作が4年ぶりの三谷監督映画となるのだが、

普通こう言った場合「前作○○以来4年ぶりの・・・」

と報道されるが、4年ぶりは書かれてるが前作名が書かれている記事が少ない。

上映に先駆けてフジテレビが放映した三谷過去作品は

「ステキな金縛り」

「清須会議」

3作前と2作前が上映。

前作は完全に封印状態。

「ギャラクシー街道」ね。

宇宙を舞台にした「スペースロマンティックコメディ」。

出演者が全員宇宙人で、香取慎吾と綾瀬はるかの夫婦が経営する

ハンバーガーショップが舞台の物語。

まぁ賛否両論というか、これまでの三谷テイストとは全く異なる作品で、興行的にも評判的にも失敗したと言われている。

それ以来の作品「記憶にございません!」

まるで宇宙のバーガーショップじたいが日本映画界の記憶になかったかのように、今回は一転して総理大臣が主演の物語。

第127代内閣総理大臣役に中井貴一。

支持率評判最悪の総理が、ある事件がきっかけで記憶を失う。

自分が総理大臣だったこともなんで嫌われてるのかも知らない総理は、記憶のないまま総理大臣として立ち振る舞う・・・という、三谷作品らしいシチュエーションコメディ。

この作品のあらすじを見て最初に思い浮かんだのが

1997年にフジテレビで放送されたドラマ

「総理と呼ばないで」

支持率最低の総理大臣を田村正和が演じたコメディドラマ。

個人的には三谷作品の中でも好きなドラマの一つだが、当時は視聴率がいまいちと不評だった・・・が、

いま改めて視聴率を見てみると

第1話が22.6%、第2話20.8%から第3話で14.3%と急落。

第7話で9.3%と一桁に落ちている。

ところが第10話13.8%、最終回8.9%と盛り返して終了。

平均視聴率も14.4%。今の時代なら成功と言われる数字だが、

当時の三谷-田村正和ラインは、古畑任三郎という大人気コンテンツがあったため

「古畑の方がよかった」

という声も多く、評判倒れになったのであろう。

で、それから12年経って三谷が再び挑んだ総理ドラマ。

中身はもちろん違うが「総理と呼ばないで」のテイストに似た感じ。

家族仲が悪かったり、

側近が総理をバカにしてたり、

少しずつ支持者が増えてきたり。

実際にある事件や実在の政治家を思い出させるような人やシーンもある。

そういえば最近も実在の事件を思い出せる映画を見たな・・・

「新聞記者」

どちらもある事件に関するシーンがあるのだが、

「新聞記者」の方は一部で問題になっていたが、「記憶にございません」はそのような書かれ方はしていない。

「風刺」、「コメディ」という形で流されているということか。

「新聞記者」も事件を笑いにすれば、あれだけヒットしたのにコソッと終わることがなかったのかな?

ま、あれに笑いを混ぜた時点で陳腐になるだろうけど。

映画の中見に関してはネタバレになるので触れないが、

期待通りの内容。

そして個人的には(ここから 行くらいネタバレになるから、これから見る人は5行ほど飛ばしてください)

最後がハッピーエンドとか、どうなるんだろうという濁しで終わる物語があまり好きじゃないので、支持率が大きく上がってさすが総理というありきたりな落としどころじゃなく、がんばったからってそう簡単に変わらないよなぁという終わり方は好きだった。あとジャルジャルと佐藤浩市のBARでのやり取り。あの部分好きだったな。

三谷が何かのインタビューで

「総理と呼ばないでのリベンジを果たしたい」

みたいなことを書いていたが、

今回は完全にリベンジを果たしたのではないか。

それから別件だが

1996年の三谷ドラマ「竜馬におまかせ」

あれも不評であれ以来三谷は日本テレビで書いていないのだが、

あのリベンジって2006年の「新選組!」だったんじゃないかな。

多分だけど三谷の中では

「竜馬におまかせ」も「総理と呼ばないで」も面白い本だったと自負してるはず。

だけど演出だったり世間とのずれだったりで評価がされなかったリベンジをいつか果たしたい。

そう思って「新選組!」「記憶にございません!」を発表したんじゃないかな、、、と勝手に推測。

推測ついでにもう一つ。

「ギャラクシー街道」にしたって三谷の中では言いたいことが山ほどあるだろう。

いつか宇宙をテーマにした三谷の新作品が誕生し、ギャラクシー街道のリベンジを果たすことを期待したい。