コミュニティラジオの頃

(23)帯広嫌い(?)

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放送局に就職したが、開局日も決まらない。

開局準備という名の、何もしない日が続き

その間、発声がなってないと言われ、

契約は一年だと脅され、

でも開局日が決まらないから

力を発揮する術もなく、

季節は秋・・・三寒四温の逆で

四寒三温(そんな言葉は無い)で日に日に寒くなる。

札幌時代同様の一人暮らしであったが、

帯広には友達もいないし土地勘もない。

たまにはどこか飲みに行きたいな、と思っても

行く相手がいないし、どこ行っていいかわからない。

結局自転車でグルリグルリと30分以上まわって

ラーメン屋で餃子にビール。

そんな生活。

局の人間とは…仲が悪いわけじゃないがまだお互い探り探り。

そして溝手以外は女性なんで、余計話に入っていけないというか、

盛り上がる話もないというか、

この話を開局後に同僚に話したら

「飲みに行くなら誘ってくれたらよかったのに」

とか

「みんなで喋り始めたら席立つから私達のこと嫌いかと思ってたよ」

なんて言われたけど、

スタッフが嫌いなんじゃなく、

ここに来た自分が嫌い、というか。

たまたま採用されちゃったけど、ここ来ちゃってよかったのかぁ。

帯広?

なぁんて感じ。

帯広の文化何ちゃらの人とか、

帯広で名誉なんちゃらの人とか、

とにかく偉い人と会食したりお茶したりお酒飲んだり

そんな機会もあったのだが、

どこに行ってもみんな帯広は素晴らしいと語る。

自然も

文化も

観光も

芸術も

食事も

帯広に勝るものは無い。

帯広は日本一、いや、聞き方によっては世界一だ!

みたいな感じの話が出たりする。

これらの言葉が帯広に来て間もない私へのリップサービスだったりしたものも多かったのだろうが、

帯広はスゴイ

帯広はスゴイ

と言われれば言われるほど

そんなにスゴイか?

と捻くれる自分がいた。

ちなみにこの頃・・・から辞めるまでずっとそうだったのだが、

他の地域から帯広にやって来た溝手へどこから来たの?と聞かれる質問には2通りある。

「どこから来たんですか?」

「生まれはどこですか?」

というもの。

どちらも「どこ」だが、答えは違う?

「札幌から来ました」

と答えると

「札幌都会だもんねー」

「帯広なにもないからつまらないでしょ」

と来る。

「いえ、そんなことないですよ」

と答えると

「そうでしょ、帯広はねぇ」

と帯広自慢を始める人も。札幌には負けない、と。

「生まれは北見です」

と答えると

「北見田舎だもんねー」

と勝ち誇る。

「帯広は都会でしょ」

とも。

いえいえ生まれは北見ですが、5年間札幌住んでました、と言うと不機嫌になる人も。

・・・と書いては見たが、今思い出せばみんながみんなそんな答えだったわけじゃない。

札幌と聞いても「あっそう」の人もいたし、

「帯広は田舎でさぁ」と捻くれずに言う人もいたし、

「北見いいよねー」と言う人もいた。

だけど開局前の秋は、帯広の人はみんな帯広が最高と思っていて

札幌を妬み、北見を見下している、と思い込んでいた。

そして思えば思うほど周りの反応もそれに重なり、

帯広嫌いになりつつあった。

ま、勝手に被害妄想感じて構えてる男が目の前にいたら

誰も好意的な目を向けてくれるわけはないよな。

帯広嫌い、というより、帯広に馴染めず、拗ねていた秋であった。

まだ開局しない。

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