コミュニティラジオの頃

(34)シーンからの開局

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コミュニティラジオの頃 はじめに

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12月23日正午ジャスト。

コールサインが流れ、局のジングルが流れ、

パーソナリティの第一声が電波に乗る。

その第一声は誰にするか?

局内最年少の女性Kさんにお願いした。

8月1日の入社日にいた4人のうちの1人。

1人は辞めちゃったんで3人のうちの1人。

前にも書いたが溝手とは仲が悪いみたいに言われたりしたが、

彼女のラジオ愛は感じていた。

アナウンサーになりたくていろいろな局を受けたが夢叶わず。

そんな中地元帯広にラジオ局が誕生することになり採用試験に合格した。

ずっとアナウンサーになりたかった帯広生まれ帯広育ちの彼女が第一声を上げる。

誰一人反対する人はいなかった。

11時過ぎサテライトスタジオに全員集合する。

新聞社の取材が入ったり、エライさんや名前は一切知らないが多分エライさんやきっと議員さんとかいろんな人が狭いサテライトスタジオやその周りを行き来する。

正午のオープニングのリハは終わったので我々は基本何もすることがない。

座って休んでいる人、談笑してる人とさまざまだが

そんな中Kさんはオープニングの練習をしている。

「JOZZ1ADFM・・・」

溝手はKさんに近づく。

ちょっと気の利いたことを言おうか、その逆にくだらないことでも言ってボケようかと考え、Kの名前の一文字目を言った瞬間…あれ???喋らない方がいいかも。

なんかこみ上げるものが…

Kを見ると彼女も目に熱いものが・・・。

私はわざと茶化して

「ヤバッなんか言ったら泣いちゃうかも」

と言うとKは「私も」と言って目を背ける。

6月に入社試験を受け、

8月に入社して。

9月に開局するはずが延期になって、

入った社員が辞めて、

(ここには書いてないが)いろんな大人の人が出入りしてかき乱して

いろんなことがあって、ようやく開局にこぎつけた。

そりゃ感無量になるわな。

私はKに言う。

「緊張してカフ上げ忘れるなよ」

Kは言う。

「当たり前でしょ」


カフボックス(cough boxあるいはcough switch)とはスタジオあるいは舞台におけるパーソナリティ・司会者などがマイクロフォン(以降「マイク」と略記する)をON/OFFする操作箱。 単に「カフ」とも呼ばれる。

※Wikipediaより

そして11時59分。我々パーソナリティはサテライトスタジオに一列で並び立つ。

一人座っているのがK。

時刻は正午に変わる。

この日から何千回、何万回聞くこととなるラジオ局のジングルが流れる。

そして・・・

「JOZZ1AD・・・」

ん???

Kは喋っているが電波に乗っていない。

無音の電波・・・ん???

Kが気づく。

「JOZZ1ADFM、JOZZ1ADFM こちらはおびひろ市民エフエム。周波数76.1MZ出力1ワットです」

カフを上げ忘れていたのだ。おーい!

てことでFMウイングは開局した。

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