コミュニティラジオの頃

(36)静まるラジオ局

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開局特番。

盛り上がるスタジオと異なり、

空元気で盛り上げる中継のおいら。

夜7時。最後の中継を終わりようやく局に戻る。

局内ではすでに放送を終えたパーソナリティやスタッフが

差し入れのドーナツやらおにぎりやらケーキやらを囲んで

プチ打ち上げ状態。

「溝手君も食べなよ」

いえいえ、私これから本番なんです。

夜8時から11時までの3時間は溝手の番組。

通常深夜の番組を担当する学生DJのN君と二人で担当。

続いて夜11時からは、その深夜放送。

全部で11人いる学生DJが勢ぞろいし、その番組の進行もおいら。

つまりここから5時間生放送が待っている。

他のパーソナリティは8時で放送終わり。

どこか飲みに行こうか!

なんて声も聞こえる。

「溝ちゃんも行く?」

いや、だから俺はこれから放送だって。

「じゃあ終わってからおいでよ。何時までだっけ?」

「1時」

「えー今七時半だよ。5時間も喋るの大変だねー」

おーい・・・。

まぁ、みんな自分のことに一生懸命な開局放送だから

誰が何時間喋るとか覚えてなかったんだろうけどね。

局のお偉いさんなんかも6時7時と時間が深くなると

「じゃあがんばって」

と局を後にする。

溝手の出番まであと10分ってときには、局の中には数人しか人が残っていない。

なに?もう開局特番は終了したの???

今日のために準備をしたのに。

開局特番のプログラムも作ったのに。

もう開局特番は終了かよ。

これから本番だというのに

だんだんだんだん冷めていく溝手がいた。

周りは気づいていない。

一人だけ、ムッとしている溝手の前で一緒にマイクの前に立つN君だけは

どうしよう・・・って空気でおいらを見つめていた。

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