コミュニティラジオの頃

(43)ラジオという仕掛け

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コミュニティラジオの頃 はじめに

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夜の番組を毎日数時間担当する。

リクエスト番組やプレゼントが当たるコーナーなんかは

それ目当てでメッセージは届くが

それ以外では、ほとんどメッセージが来ない状態。

当時はまだ携帯を持っている人も少ない。

メールなんてない。

自宅にFAXがある人も少ない時代だった。

余談だが、リスナーの中学生のお家にFAXが導入され、

嬉しくなったそのリスナーは毎日にように

何度も何度もFAXを局に送り続けた。

ところが1か月が過ぎたころ、

バッタリFAXが届かなくなった。

どうしたのかなと思っていると局に遊びに来た彼が言う。

「FAX毎日何回も流したら電話代スゴイ跳ねあがってお母さんに怒られて、FAX送るの禁止になった」

今そいつがリスナーだったら、料金も気にせず死ぬほどメールを送って来ただろうな。

なぁんて感じでそんなにメッセージも来ない。

そもそもリスナーって何人いるんだ?

こりゃいろいろ仕掛けようか。

元々溝手はラジオっ子。

子供のころ聞いていて、ワクワクした先輩たちのような企画をラジオで仕掛けてみる。

どんなことをやったかというと、

「キオスクのカルピスウォーターを売り切れにしよう!」

当時カルピスウォーター好きを公言していた溝手と一緒に帯広駅でカルピスウォーターで乾杯しよう!

日曜の午後三時。帯広駅にあるキオスクでカルピスウォーターを買って駅前に集合!

この企画には15人くらいが集まった。

ところがカルピスウォーターを持っている人はその半分程度。

聞くと「カルプスウォーター無いって言われた」

だと。

駅の小さなキオスクだから、保管スペースが少なく

カルピスの在庫が8個くらいしかなかったそうな。

録音機材をもって溝手はキオスクに行く。

「すみませんカルピスウォーター下さい」

すると店員のおばちゃんはキレ気味で言う。

「さっきの人かい?もう無いって」

いや、さっきの人ではないけど、無い理由を作ったのは私です。

溝手は今日カルピスが売り切れた理由を話す。

うちの局のことは知らないようだがマイクをもって話すんで何かの放送とは気づいたようで、キレるのはやめた店員さん。

「じゃあさ、カルピスじゃなくて十六茶かジョージア買うように勧めてよ」

だって。

いやいやキオスクの営業マンじゃないので。

ほかにも局のステッカーを帯広の町中の電信柱に貼り

それを見つけて持ってきた人にテレホンカード(時代やねぇ)を進呈する

ステッカー大作戦とか

街中で見ず知らずの人に声をかけステッカーを別なものに交換してもらう

わらしべ長者とか。

いま思い出しながら炎上しないものを選びながら書いてるが(笑、

みんなで夜桜をしようと、深夜放送中に桜の名所に行ったら、

怖そうなお兄ちゃんがバイクに乗ってて、「あっ怖い」・・・と

雨が降って来たのをいいことに「夜桜中止です」としたこともあったな。

こんなわけのわからないことをやりながら

でもわけのわからないことを面白がってくれる人たちのおかげで

聞いている人がいる、と実感し、

さらにわけのわからないことをやり倒した。

そしてそんな思いつきの企画の中から、

実際に市内で商品化されてメディアに取材されちゃう事件も起きたりした(つづく)。

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