コミュニティラジオの頃

(30)アドレナリンが・・・

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コミュニティラジオの頃 はじめに

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開局一か月前の11月23日。

我々パーソナリティの顔見せを兼ねたイベント・フリーマーケットが局内で開催された。

フリマは、市民参加だったのかな?告知はどこでしてたのかな?

あまり覚えてないが、多くの出店者とそれを求める市民で局内外は賑わっていた。

その中で我々は公開放送式でフリーマーケット内で模擬放送をする。

本当は朝、昼、夜、3つのゾーンのパーソナリティで3つのプログラムの予定だったが、2人が前の日に辞めてしまったので急遽2つのゾーンの放送となる。

溝手は朝担当のKさんと組むことに。

その当時溝手とKの仲が悪いみたいなことを言われることが多々あった。

仲が悪いというか、お互い若いし自分の主張をする中で

溝手とKでは全くやりたいラジオの方向性が違うわけで

そんなことを言い合うと「仲悪い」と見られたわけで、

逆に言えば自分がやりたい放送ビジョンが一番あったのがこの二人だと思う。

で、お互いパートナーが辞めちゃった同士で二人で組んでの模擬放送。

もう一組の方は事前に台本も用意し、台本に沿った放送をしてるのだが

こっちはぶっつけ本番。

基本はフリマ参加者に募ったリクエストをかける番組なんで

「まっ、でたとこ勝負でしょ」

と模擬放送がスタート。

「時刻は午後1時を過ぎました。帯広市南二条西11丁目FMウイングスタジオよりお送りします特別プログラム。パーソナリティは私溝手孝司と・・・」

特に台本は無かったが、スラスラと喋る。

ラジオは子供のころから好きだったからね。

はじめてラジカセ買ってもらった時は、一人でラジカセにラジオごっこを録音してたもんね。

かっこいいDJのフレーズを真似して、自分ちでCDのイントロに合わせて喋ったりしてたもんね。

もう一方の放送は台本だから、急なリクエストや放送中に市民が入って来たとき対応困ってたけど、

こういうのは生放送によくあることだもんね。

「スタジオに女の子が二人乱入してきました。僕のこと好きなのかな?」

「え・・・いいえ」

「なんと私出会って5秒で失恋してしまいました」

こんな感じで好き勝手喋ってると、フリマの買い物をしていた人も、

「なんかやってるぞ」とこっちを見る。

見られると調子に乗る。

「リクエスト来てます。五木ひろしさんの曲リクエストいただいたんですが、ごめんなさい。ここに五木さんのCDないんで、私が歌います。よこはまたそがれ・・・」

一緒にいたKは方向性の違う展開に全然喋れず悪いことしてしまった。

だけど止まらなかった。

笑いが来たり、リアクションが来ると、

アドレナリンっていうのか…なんか脳がジンジンくる。ジンジンって病気か(笑。

公開放送終了後、私に発音やら発声やらを注意してくれた親会社のアナウンサーが私に言う。

「溝手さんは好きに喋るのが一番いいね」

活舌が悪い、何喋ってるかわからない。

いつも怒られた人に初めて褒められた。

模擬放送を終えてスタジオを出ると一組の家族に声をかけられる。

父「娘がこの人面白いってすごい笑ってました。放送頑張ってください」

お父さんと、娘さんと握手をする。

「12月23日も聞いてくださいね」

開局まであと一ヶ月。

開局日も決まったことだし、

あとは走るだけだ。

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