人の記憶ほど適当で曖昧なものはない。
今日の話、昨日の話ならまだしも
一週間前、一か月前
ましてや1年前2年前の記憶なんて
動画や音声でも残ってない限り、曖昧で正解に辿り着かないことが多い。
ある時の話。
気の合った仲間と飲み会があって
3年前の夏にビアガーデンに行ったよね
みたいな話をする。
このビアガーデンには仲間6人でいった記憶があるのに
1人は「いや、行ってない」と言い
もう1人は「ビアガーデンじゃなくてサッポロビール園だ」と言い張る。
他の4人は「ビアガーデンだよ」
と言っているのに
「行ってない」
と
「サッポロビール園」
と言い張る人物がいる。
その時は仲間の一人のSNSで
3年前に6人でビアガーデンに行っている写真が残っていて
「ほらビアガーデンだ!」と4人が勝ち誇り、
1人は「あれ?俺の双子の弟が行ったのかな」と言い(双子などいない)
もう1人は「あぁ、ジンギスカン食べたのは別の仲間とだった」とミスを認めた。
まぁ、このレベルの話だと、どっちが正解でも記憶違いでも
笑い話やまぁいっかで済むのだけど、
仕事の話となるとそうはいかない。
だいぶ昔の話。
溝手の昔の取引先で
「溝手さんとは○○なことがあった」
「溝手さんには△△をしてもらって」
などと話す社長さんがいた。
そこで出る話は溝手に不利なものやマイナスなことはないので
まぁ、否定も肯定もせず「はいはい」と聞いていたのだが、
そのうちこの会社の立ち上げの時の会議に溝手がいたことになっていたり、
この会社の借金の保証人に溝手がなっていたり
社の人から見ると
「溝手さんってうちの会社と深いかかわりがあるんだね」
みたいに言われてたが
溝手がその会社の社長に会ったのは、会社でできて3年目くらいの時だったから
絶対立ち上げ前の会議に参加していないし、
ましてや借金の保証人になんかなっていない。
で、ほかの人の話を聞いても
毎回言ってることが違ったり
そこを指摘すると
「そんなことは言っていない」
と言いきったりするのだ。
そして3年前に話した5年前のありもしなかった話が
そのまま話し続けることで真実のようになり、
それが少しずつ脚色され
真実でない真実がどんどんアップデートしていく。
そんなことが続いて、なんとなくその会社との付き合いを避けるようになって、
ある時。その会社にいた社員と偶然町で会って、その会社が倒産したことを聞かされた。
「溝手さんに相談していろいろ手を尽くしてもらったのに申し訳なかったって、社長言ってましたよ」
だって。
もう何年も会っていないのに。
会社が倒産したことも知らなかったのに。
社長の頭の中では、会社のために溝手はいろいろと頑張っていたらしい。
もしどこかでこの社長に偶然会ったら、溝手はどんな顔をして会えばいいんでしょうね。
そのころには、また新たな記憶がアップデートされていて、
会社を倒産させた影の仕掛け人にでもなっていたりして・・・。