溝手の読書日記

銀の匙 完読しました

十勝の農業高校を舞台にした漫画

銀の匙 Silver Spooonが完結。

2月に出版された15巻を入手し、

これを機にと、1巻から読み直しました。

舞台のモデルは帯広農業高校。

私も5年間帯広に住んでいたので

知っている場所も多く漫画に出てきて、

親近感の湧く漫画だった。

コメディタッチで描かれているが

・優等生の挫折

・農家の跡取り問題

・離農

などなど毎号重いテーマがのしかかる。

物語の中で誰に比重を置いて読むか、

どの設定を重視して読むかによって考え方も変わるだろうが、

個人的には、オタクの西川君が、かなりいい奴で彼に脚光が当たるシーンが結構好きだ。

八軒が西川に頼みごとをしたとき、

その内容を聞く前に

「お前の頼み事なら面白いから引き受ける」

と答えたり、

西川の元同級生が、乗馬の大会で八軒や御影らを侮辱したシーンで

「俺のことはどうでもいいが親友が侮辱されたのは許せない」

と言ったり、

フランスに旅立つ吉野に

「そういうの嫌いじゃない」

と、とある餞別を送ったり、

物語の中心ではないが、

髄所随所にいい感じで登場する西川君。

肉食女子には振られたが幸せになってほしいなと思う。

・・・と全く物語の本筋を書いていないが(笑)。

農業の世界はこの漫画の連載が始まった2011年から大きく変動している。

生きるために食べる。

食べるために育てる。

八軒が学校で学びながら迷うシーンは、

普段当たり前に食べている、食生活についても考えさせられた。

・・・と書きながら考えているのは読んでいる時だけで

腹が減ったら感謝より先に食欲が突っ走るのは何も変わっていないが。

ユータスネットのクライアントや仕事先にも農家や畜産関係の人が何人もいる。

それぞれ話を聞くと、漫画の中でも出てくる切実な問題と同じような状況も多く実在している。

この漫画の影響で、農業系の学校に通う人や、農家を始める人も増えたと聞く。

食とは農家とはと、重たくなる必要はないから、

これを読んでり興味を持ったりする人が多かったというだけでも影響力の強い漫画だったんだろうな。

ちなみに銀の匙は、アニメ化、映画化もされた。

原作に忠実に動いたアニメはともかく、

これだけ膨大な物語を2時間に収める映画の方は、

あきらかに見せ方がブレまくったと思う。

中島君やアリスちゃんファン。

校長役のダチョウ倶楽部・上島竜平ファン以外は、映画ではなく漫画を読むことをお薦めする。

銀の匙15巻