コミュニティラジオの頃

(51)みぞっちーずまん

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コミュニティラジオの頃 はじめに

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開局当初は毎日5時間の番組を担当した。

「よくそんなに喋ることありますねー」

と言われたが、実際そんなに多く喋っていたわけではない。

5時間のうち2時間はリクエスト番組で、時間の大半は音楽をかけている。

ほかの時間もコーナーとして区切られやることが決まっているので

実はそんなに喋り倒しているという感じではない。

番組のタイムテーブルを作る時点で

プロデューサーから「好きに喋られる番組一本作ったらいいぞ」

とアドバイスされた。

毎日5時間も番組やってるのにそれと別に好きに喋れる番組って?と思ったが、実際に番組をスタートしてその意味が分かった。

好きに喋れる番組は水曜夜11時から2時間。

番組名は「SHOW&景気ラジオ」

ショートケーキラジオと読ませてた。

SHOW&景気ラジオは進行表なし、ゲスト無し、かける曲無しで120分好きな番組をしていた。

番組が始まった頃はプランが無かったので会社の悪口と同僚の悪口ばかりを120分喋るだけの番組で苦情が絶えなかったが、そのうち自分のしたい放送の形が見えてきた。

自分が好きに喋る番組だから自分が有名になることをしよう。

そう考えてスタートしたのが「みぞっちメジャー計画」

溝手がメジャーになるためにはどうしたらいいか。

ギネスブックに載ろう。

銅像になるにはどうしたらいいか。

など毎週訳の分からないことに挑戦する。

その中で実現したもののひとつが「みぞっちーずまん」。

帯広市内の有名お焼き店・高橋まんじゅう屋。

帯広では高まんと呼ばれる人気店だ。

このお店の人気があんおやきとチーズおやき。

あんとチーズを区別するため

あんはそのままだが、チーズには、チーズと焼き印が押されている。

チーズのところにみぞっちーずという焼き印を押してもらって

みぞっちーずまんを作ろう。

ただそれだけの考えでテープレコーダー一つ持って

高まんへ行く。もちろんアポなんかとってない。

「すみません、お願いがあるんですがぁ」

録音していいですかも何も言わず交渉開始。舐めた野郎である。

なんなら断られたり店員に怒られてもそれを流せばいいやくらいのことを思ってた。

まだSNSもユーチューブも存在していない頃。いわば炎上作戦、嫌な奴やな。

ところがお店の人が無茶苦茶いい人で話を聞いてくれるわ、

「あぁ、FMウイングさんね」

と局のことを知ってくれているわ。

私が高まんに何度か買い物に行っていたのも顔を見てわかっていた。

「先週あん4個か5個買いに来たよね」

そこまで覚えてるのかぁ…。

だったら話は早いとみぞっちーずまんのお願いをする。

その二週間後、またアポも取らずにテープレコーダーをもっていく。

「溝手さん、来ないからどうしようかと思ったよ」

え、どうしよう・・・って?

「みぞっちーずで焼き印発注したんだよ」

え!

こっちの受託を前にすでにみぞっちーずを発注していたとは。

高まん、仕事が早いぜ。

ということで、高橋まんじゅう屋で本当に

みぞっちーずまんが発売された。

中身はチーズおやきと一緒。

ちーずの焼き印の代わりにみぞっちーず

と押されるのだ。

発売日。溝手が1時間店長って感じで店内に入る。

1時間で100個以上売れたんじゃなかったかな。

その後もリスナーが訪れれば、お店の人のご厚意で

みぞっちーずって焼き印を押してくれたらしい。

あれから25年か…もう「みぞっちーず」の焼き印は無いだろうな。

もし高まん行く機会あったらお店の人に

「みぞっちーずまんください」と言ってください。

多分「は?」と言われるでしょう。

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