コミュニティラジオの頃

(22)アナウンサー失格

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8月1日より会社に勤務したものの、

開局日すら決まらない。

ようやくラジオ局の名前も決まったものの、

やっぱり開局日は決まらない。

「時間がある時に、できることをやりなさい」

上層部は言う。

だけど、いつ開局するかわからないし

自分が何曜日の何時からどんな番組を担当するかすらわからない。

パーソナリティはこの時点で4名。

うち溝手を含む3人は、ラジオで喋ったことすら無い人間。

何を準備したらいいかだって、わかんないよねぇ。

っていってるうちに唯一の経験者の人が

身内に不幸が起きちゃって、退職してしまい

未経験者3名のみが残る。

更にどーしたらいいの、状態。

毎日…だったか2日に1回だったか忘れたが、

親会社の街頭放送のアナウンサーさんの発声発音訓練ってのがあった。

ニュース原稿を読んだり、発声訓練をしたり。

そこでいつも溝手が言われてたのが

・早口で聞き取りにくい

・滑舌が悪い

上層部の人がいる前で何かを発表したり読んだりする機会があったのだが

その時も

・もっとゆっくり喋りなさい

・何言ってるかわからない

のオンパレード。

しまいにゃ

「このままじゃ溝手君にはラジオ番組を任せられないね」

とまで言われた。

「アナウンス技術をもっと磨きなさい」

と。

あれれ?溝手は思う。

6月に新聞の求人欄で見たラジオ局の募集。

「パーソナリティ募集」

溝手はパーソナリティになりたくて、履歴書を送ったのに

「アナウンサーになれないよ」

と言われる。

さぁ、ここでこれを読んでいる人の97%の人が思っている疑問に答えよう。

アナウンサーとパーソナリティの違いは?

レッツゴーウイキペディア!!!

アナウンサーとは、放送するマスメディアが、収拾した情報を元に作った原稿を音読して、視聴者へ伝達する者である。

ラジオパーソナリティ(radio personality)とは、一部の英語圏および日本において、ラジオ番組を司会進行する者のことを指す言葉である。

解釈によって異なるが、溝手がざっくり考えていたのは、

ニュース原稿や与えられた台本をしっかり読みこなし、自分のものにする人がアナウンサーで

原稿も台本もなしに番組を作り上げる人がパーソナリティ。

そう思っていたのです。

だから「帯広市の市政ニュース」とか「天気予報」みたいなテキストを上司の前で読まされて

「溝手君は、もっと勉強した方がいいな」

とか言われても、アナウンサーになるって聞いてませんでしたよ!!と心の中で思っていたわけ。

もちろん口には出しませんが。

てな感じで、どんどん局内でも落ちこぼれになっていき、

そうなると局内でも喋る相手もいないので

元気がない人と誤解されたわけですな。

この時期上司にすごい言われたのは

「あなた方は一年契約のアナウンサーです」

ということ。

8月から入ったから使い物にならなかったら

翌年7月末にはお払い箱になる。

自分がどんな放送をするかも決まっていない。

何をさせられるのか、そこでどんな結果を残せるかもわからない。

そもそもこの時点で仕事すらない。

こりゃ、マジで1年間でサヨウナラもあるな。

このころは、本気で思っていた。

なんせアナウンサー失格の身でしたから。

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