お笑いが好きなので、芸人をテーマにした小説、漫画など好んで読む。
ドラマ化された「べしゃりぐらし」や
映画化された「芸人交換日記」、
シリーズ化され4巻まで出た「南部芸能事務所」、
暴露本というレベルで片づけてはいけない「芸人失格」などなど
それぞれにそれぞれの味わいがあるが
「地下芸人」は、それらのどの作品と比べても華がない。
なんせ主人公は地下芸人。
デビューして10年、全く売れずに
しかも相方から「解散したい」と言われた男。
その仲間たちも
芸人を辞めて実家に帰ったり、
所属事務所を辞めたり、
キャリアだけ積んで全く結果が出なかったり、
まぁ、マイナス要素の芸人がてんこ盛り。
そんな中で、解散目前の主人公が
解散リミット日までの一ヶ月を綴る物語。
ネタバレになるから詳細は伏せるが、
エンディングは、私の予想と外れた。
外れたが、爽快感のあるラストではない。
そしてこの物語で爽快感やハッピーエンドなラストになってはいけない。
読んでいてそう感じた。
作者のおぎぬまXさんは、元芸人なのだそうだ。
芸人として芽が出なかったが、今はギャグ漫画家として活躍中だそうだ。
文庫本巻末に作者とカズレーザーの対談が掲載され、これがまた興味深い内容だった。
元地下芸人で今やメジャータレントとなったカズレーザーだが、どこまで本音で語っているかはわからないが、この対談を読むと、この人はメイプル超合金がなくても、どこかのタイミングで地下芸人は抜け出していただろうなと思う。
そして作者も地下芸人を抜け出した。
本人は芸人を辞めて漫画家や作家として活動してるので
芸人として売れなかったの気持ちが強いだろうが、
そもそも芸人の基準って何なの???って考えると
漫画や活字を使った自分の表現で結果を出した
おぎぬまXさんは、紛れもなく芸人だと思う。
⇒地下芸人
PS
札幌で一緒に仕事した関係で仲良くなった芸人が何人かいる。
札幌で活動を続けるもの、
東京で活動を続けるもの、
メジャー事務所からインディーズまでいろいろ見てきている。
「明日テレビに出ます」
「舞台あるのでチケット買ってください」
「ラジオ聞いてください」
と時々お願いや報告の連絡をいただく。
彼らの中には10年以上の付き合いの奴もいるから
もう芸歴は10数年ってのもいるんだな。
芸人は続けるのも辞めるのも勇気がいる。
みんな頑張って欲しいなと思いながら、
地下芸人を読むと、芸人で頑張るってどういうことだろう、
とか考えてしまった。