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9月の開局へ向けて、8月1日帯広のラジオ局に入社したわけだが、
入社日に言われたのが「開局日の延期」。
こればかりは、認可をもらえるまで会社にはどうこうできるものでもないそうで、
とりあえず開局へ向けて準備をしましょう、となった。
といっても、
いつ開局するのか
何をするのかも分からない状況。
当然何を準備していいかもわからない。
局の親会社は地元の有線放送と街頭放送の会社。
局の隣にそこの会社があり、当分我々はその会社預かりみたいな立場になった。
朝8時半出社。
親会社の朝礼に顔を出す。
朝礼では、みなこの日のスケジュールを言う。
営業なら○○と○○に行きます
とか
技術なら
○○と○○に工事に行きます
とか。
我々は当面やることがないので
なぜか毎日1分間スピーチをやらされる。
何でもいいので話してください、それがパーソナリティの練習になります、
だって。
最初のうちは
昨日帯広市役所に行ってきました
だとか
北海道新聞記者の▲▲さんに会ってきました
だとか喋っていたが
そう毎日話すこともない。
それは当然私以外もそうで、みんな朝礼で話す一分間スピーチのために
本だとか雑誌からネタを探し始める。
ちなみに当時は1994年。
まだウインドウズ95が出る前年であり、
ヤフーもない(ヤフージャパンは1996年スタート)から
雑学なりニュースなりを簡単に調べられない頃。
人によってはこの1分間スピーチのために新聞からネタを拾って原稿を書いて・・・みたいな人もいた。
溝手はどうしたか、、、
最初の何日かはほかの人同様、話すネタを考えていたが
そのうち面倒になってきて、その日の朝礼で思いついたことを喋り出した。
話すことが浮かばない時は、自分が札幌でしていた劇団の話やバイトの話。
まぁ、このブログで書くような失敗話やバカ話。
時にはほかの人が喋った話に、勝手に乗っかる話をしたり。
たとえばある人が
「○○に△△を混ぜると××みたいな味がする」
という雑学ネタを喋る。
いくつか話した仲に、
麦茶と牛乳を混ぜたらコーヒー牛乳の味がする
と話していた。
それに対し社員は「ホォ」みたいなリアクションをしているのだが、
私は「ん???」と思ってこの日の朝礼でこう話した
「さっき○○さんがこれとそれ混ぜるとこんな味がするって話してましたが、有名なところで言うとプリンと醤油を混ぜたらウニの味がするってのありますね。私も実際に試してみました。その結果はウニと言えばウニだけどウニかぁ?みたいな味。ただこれはわかる気がするんです。ウニは高級品だから、ウニは買えないけどプリンなら。で、プリンに醤油かけたらウニのような味がするって。でも先ほど○○さんの言ってた牛乳と麦茶混ぜたらコーヒー牛乳の味がするだったら、そもそもコーヒー牛乳飲めよって思います」
常務やら専務やら偉い人がいる朝礼で、こんなことを言うような男なんで入社して一週間もたたずに
「あいつは変わった男だ」キャラで見られるようになる。
でもどう変わっていいかわからないわけですわ。
当時は何も仕事がないわけですから。
朝礼を終えると、あとは自主活動。
月に何度かプロデューサーが来る日は指導が入るが、それ以外の日は無し。
街頭放送のアナウンサーから発声訓練を受けるのが週に何日かあったかな?
それ以外は何もないのだ。見事なまでに。
来るべき開局のために準備をするように!
上司もそもそも放送局の人間じゃないから大雑把な指示しかしてこない。
自主活動。
我々は六花亭のビュッフエに行ったり
ランチョエルパソでランチを食べたり
8月9月はずっとそんな感じ。
一応取材してきます!とか○○さんと会ってきます!
と出かけることはあったが、特に何もすることもなく。
開局後、ほかのスタッフに聞いたら
やることないから○○行ってきますって言ってウチ帰ってテレビ見てた、って人もいた。
それくらい、平和。
やることがない。
それなのに毎月給料がもらえるのであった。
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