60歳過ぎの先輩の話。
大学を卒業してからある会社に勤めていたA先輩。
仕事は本人曰く「同期ではできる方」らしく
ものすごく出世したわけではないが重要な仕事を与えられていたそう。
仕事が忙しくいつも愚痴をこぼし、
40で独立したい
50でリタイアしたい
などと言いながら62歳まで40年間会社を辞めずに働き退職した。
「40年間会社のために働いたんだからこれからゆっくりするよ」
「好きなことして余生を過ごすよ」
そう語っていたAさん。
退職金もそれなりに出たらしいし、
そうしたらいいよ。ご苦労様・・・
なんて話をしてから半年後の秋、
Aさんからメールが。
「毎日することがない生活がこれほどまでに苦痛とは思いませんでした。秋から働きます」
40年間働いていた会社の系列先で働くことになったそうだ。
給料は減って、週5日働く生活に逆戻り。
あれ?ゆっくりするんじゃなかったの?
会った時に嫌味を込めて言ってあげた。
「ゆっくりするって大変なんだな。俺にとってこの40年が普通だったから、仕事辞めてからの半年は普通じゃなかったよ」
だって。
隣の芝生がきれいに見えて、行ってみたら虫と雑草だらけで、ちっぽけに見えた自分の庭が輝いて見える、そんなこともあるんだわなぁ。